2025年8月 1日
職場における熱中症による死傷者数は増加傾向にあり、令和6年における休業4日以上の死傷災害は、1195人と調査開始以来最多となっています。今年は労働安全衛生規則の一部を改正する省令が発出され、職場での熱中症対策が強化されました。今回は法改正のポイントとその対応についてのお話です。
近年の気候変動の影響から、職場における熱中症による死亡災害が昨年、一昨年と2年連続で30人以上となっています。死亡者の約7割は屋外作業であるため、気候変動の影響により更なる増加が懸念されています。死亡災害に至る原因のほとんどが、初期症状の放置や対応の遅れです。そのため、令和7年6月1日に労働安全衛生規則が改正され、「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業を対象に、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止するため、「体制整備」、「手順作成」、「関係者の周知」が事業者に義務付けられています。
体制整備の基本的な考え方は、見つける、判断する、対処する、の3つです。熱中症による健康障害発生時の対応についての一例を紹介します。
熱中症のおそれのある者を発見した際の報告先をきちんと定め、医療機関までの搬送の間や経過観察中には、一人にしないことが大切です。回復後の体調急変等により症状が悪化するケースがあるため、連絡体制や体調急変時等の対応をあらかじめ定めておきましょう。
参考:厚生労働省 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施工等について
(健康づくり推進部 菊地 香 2025.8)